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食事をすると、すぐに下痢してしまいます。すぐにトイレに行きたくなってしまうので、とても困ります。食後の下痢を止めることはできますか? 食事の時に水分をとても多く取りますが、水分は余り取らない方が良いのでしょうか?(28歳男性)

下痢には急性と慢性がありますが、この方は、慢性の下痢症状があるようなので、その原因、診断、治療について述べることにします。摂取した飲食物は、胃の中で混ぜ合わされ、胃酸によって柔らかく細かくされます。消化吸収はすべて小腸内で行なわれますが、十二指腸ではすい臓や肝臓から消化酵素が分泌され、消化されます。これらの過程が正常に働かないと、下痢を起こすのです。また、大腸では水分が吸収されて、柔有形の大便に形成されますが、この時、大腸が炎症を起こしたり異常に収縮したりしていると、水分が吸収されずに、下痢を起こします。慢性の下痢には、以下のようにたくさんの原因があります。

(1)飲料物東洋人には、ミルク、チーズ、アイスクリームなど、乳製品の消化がうまくできない人が多くいます。乳製品に含まれる乳糖は十二指腸内に分泌されるラクターゼという酵素によって分解、吸収されるのですが、この酵素の分泌が少ないと腸内に乳糖が残り、バクテリアに分解されてガスが溜まったり、下痢や腹痛を起こしたりします。また、アルコール、カフェイン、喫煙なども腸内を刺激したり、食物の通過時間を早めるなど、下痢の原因となります。

(2)薬
下痢を引き起こす薬は色々ありますが、その大半は抗生物質です。原因は直接的な副作用による下痢であったり、または抗生物質が腸内の必要な細菌まで殺してしまうため、クロストリディウムという細菌を繁殖させて、恐ろしい疑膜性大腸炎を引き起こしたりします。また、薬によっては処方薬、市販薬に限らず、ビタミンでもコーティングの中に乳製品を含むものもあり、これが下痢の原因となったりもしますが、この場合は薬のブランドを代えることで治ります。

(3)感染症
感染症について考える時、海外旅行、あるいはキャンプをしたかどうかは大切なポイントです。普通バクテリアによる感染の場合、下痢が1カ月以上続くことは殆どありませんが、アメーバやべん毛虫など寄生虫の場合は、何カ月も続くことがあります。また、エイズウイルスに感染している場合も、バクテリア、ウイルス、寄生虫が原因で下痢を起こすことが多く見られます。

(4)消化吸収不良
下痢は小腸の炎症によっても起こりますが、これには多くの原因が考えられます。小腸が弱っていると脂肪、蛋白質、炭水化物、ミネラル、電解質、ビタミン等の栄養素が良く吸収されません。次に慢性アルコール中毒によく見られるように、すい臓から酵素が分泌されない場合、脂肪、蛋白質、炭水化物が分解されず、小腸から吸収不可能となり、消化不良を起こします。また肝臓の病気では、十二指腸内に分泌される胆汁が少なくなり、小腸からの吸収を悪くします。消化吸収不良の場合、血液検査では蛋白質、コレステロール、カルシウム、リン、ビタミンB-12、葉酸、鉄などの減少や異常、あるいは貧血が見られます。

(5)腸炎
主なものとして、潰瘍性大腸炎とクローン氏病が挙げられます。これらの腸炎の原因は、まだ解明されていませんが、下痢や腹痛、また重病になると出血も起こります。潰瘍性大腸炎は直腸と大腸のみに起こりますが、クローン氏病は小腸に多く、口から肛門まで消化器管のどこにでも起こります。日本人はクローン氏病より、潰瘍性大腸炎の方が多く見られ、これらは慢性疾患でたびたび再発したり、重症で長く続いたり、また初期の軽い症状以降、再発しない場合などがあります。

(6)下痢と他臓器の関連性
甲状腺機能亢進症、糖尿病、肝臓疾患、すい臓の機能不全などがあるかどうかを調べることが必要です。

(7)大腸過症
他に原因が当てはまらない場合にたどりつく診断で、軽い下痢の場合に最も多くみられます。大腸はアルコール、カフェイン、ニコチン、ストレスや睡眠不足に敏感に反応します。これは病気ではなく体質によるものですから、要因になる刺激を取り除き、リラックスしてエクササイズや高繊維食などを心掛けることで治ります。このご質問ではよくわかりませんが、下痢便に血が混じっていないか、体重が減っていないか、1日に何度も便通があるか等は大きな問題です。また、多量の水分を取ると、種類を問わず下痢が起こります。前にも述べたように、アルコールやコーヒー、カフェインを多く含むお茶、ミルクなどには気を付けて下さい。その他旅行をしたか、薬を服用しているか、家族に似た症状の人がいるかなども、原因を知る上で大切なポイントです。
【検査】血液検査で血球、ミネラル、糖、肝臓やすい臓機能などを、便の検査で便の中の血液、白血球、バクテリア、寄生虫や寄生虫卵などを調べてみなければなりません。症状が長く続く場合や、便に血液が混じっていても感染症がない場合には、腸の検査をします。大腸は大腸鏡検査で、小腸はバリウムによるレントゲンで調べます。大腸鏡検査の場合、異常があれば組織を取ります。
軽い慢性の下痢の場合、殆どは食事や生活習慣を改善することで良くなります。アルコール、カフェイン、ニコチン、仕事のストレス、早食い、食べ過ぎなどの習慣は腸にとって最大の敵なので気を付けて下さい。敏感な人は小量でも症状がでてしまいます。このような人は、週末や休暇中にはストレスが少なくアルコールを飲む機会も減るため、下痢症状が改善したり、なくなったりします。病気が原因ではないので、自分の腸が敏感なのを自覚し、健康な生活を心掛けることが大切です。

回答:岩原誠先生(岩原胃腸科・内科医院/NY)
212-879-2328

 

 

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