一般に汗の量は、運動、入浴、高温多湿の環境、精神的緊張や興奮、食事(特に酸味の強いものや香辛料の強いものを食べたとき)など、多くなります。こうした健康人に見られる正常発汗以外に、汗の分泌が異常に亢進した状態を多汗症といいます。
質問者の場合は湿気の多い日に発汗が、顔、背中、胸に多いということですので、生理的な体温調節のための温熱性発汗と考えられます。この発汗は、高温多湿の環境に生活するうえで、人間の持っているとても重要な作用で、これが働かないと体内に熱がこもり、「うつ熱」状態となります。
多汗症の診断は、発汗量の正常と異常の差が判然としないため、難しいことが多いといわれます。
多汗症には、全身多汗症と局所多汗症があります。
全身多汗症は、何か基になる病気があって起こります。例えば、肥満症、有熱疾患、糖尿病、甲状腺機能亢進症、交感神経緊張(嘔吐、ショック、低血糖など)、更年期(卵巣機能の低下)、ある種の薬物(アスピリン、ピロカルピン、抗コリンエステラーゼ薬など)などでみられます。質問者の方の既往症、現在の病気の有無、月経の状態などの情報がありませんので、何か病気が潜んでいないかどうか、一度あなたの担当医に相談してください。特に49歳という年齢から更年期が始まっているのかもしれません。更年期に特徴的な症状として「のぼせ(Hot Flash)と発汗(とくに夜)」があります。しかし、これは気温に関係なく、急に顔や上半身が熱くなり、汗が出ますがしばらくすると治まります。
局所性多汗症は精神的な緊張や感動などにより、手のひら、脇の下、外陰、足の裏などにおこります。とくに、無毛部である手のひらと足の裏に生じます。
お尋ねの顔、背中、胸の大量の汗に対する方法ですが、この汗をすべて止めてしまうと「うつ熱」になるので、それはできません。部分的に汗を少なくすることはできます。寝る前に汗を止めたい部位に20%塩化アルミニウム液(Drysol: Aluminum Chloride20%: 市販薬ではないので、処方箋が必要)を塗り、朝、目覚めたら洗い流します。これを数日繰り返すとその部分の汗がかなり減ります。その他、脇の下の汗は、こまめにシャワーを浴びたり、腋毛をそったり、市販の制汗、デオドラントを使用したり、BOTOXの注射等の方法があります。また、汗に強い化粧品の使用、スキーや登山のときなどに使われる速乾性の下着の利用、過剰の水分摂取は控えるなどの対処法があげられると思います。何はともあれ、まずあなたの汗は、日常生活に支障をきたすほどなのかどうかぜひ担当医に相談してください。
回答:小柳乃理子先生(41丁目診療所/212-683-0041
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