コミュニティーインフォ
1989年渡米。NYU英語コース、パーソンズスクールオブデザインを経て、現在はフリーランスのグラフィックデザイナーとして活動中。2002年9月に初の著書となる『笑うニューヨークDELUXE』を講談社文庫より出版。今年5月には第二弾となる『笑うニューヨークDYNAMITES』を上梓し、出版記念サイン会を日本にて行った。 現在、愛犬のシベリアンハスキーの「チョビ」(コミック『動物のお医者さん』好きか?)と二人暮らし。何でも「チョビ」のほうが男の子にモテモテなのが口惜しいとのこと。
<vol.35> 『地中海の情熱・フィリップ』(新年だし、タイトルを変えてみた)

古い石畳の道を歩いてくる情熱オヤジ。パンツは薄いカーキ色のワークパンツみた
いな感じで、足元は普通のスリッポン。だが、その上に来ているシャツがものすごかっ
た。
 地色は蛍光グリーン。目が痛いほどのマジな蛍光グリーン。そして、ちょっと見る
とキース・へリングみたいな小人が踊り狂っている様がびっしりと書き込まれている
だけでもいい加減どうかしてると思うような模様なんだけど、この小人が蛍光ピンク
と蛍光イエローと蛍光オレンジに塗り分けられている。その上、小人と小人のすき間
に、うずまきやら三角やら丸やらがうじゃうじゃ描かれていて、それぞれがピンクや
イエローやグリーンの蛍光色である。このシャツの上にのっているおじさんの顔は、
眉間にいつもシワが入っている濃くて険しい顔(いや、ハンサムなんですけどね)。
あまりのややこしさと濃さに、目が回りそうである。蛍光色のオンパレードで目も痛
い。一体全体、こんなシャツをどこで買ったのか。いや、それよりどういう気持ちで
これにお金を払ったのか。それから、これをデザインした人の気持ちも知りたい。買
う人がいると思ってデザインしたんだろうか。しかしこうして実際に買って着ている
男が目の前にいる現実。スゴすぎる。  
 「オウ。レイコとジェイコブじゃないか。2人で何をしているのだ?」
 いや、何をしてるじゃなくて。
 「キミが12時に来いと言ったから待ってたんだよ。もう1時半過ぎてるよ。彼女だっ
て1時の約束に、丁度の時間に来て待っていたんだよ」
 ジェイコブさんが私の方を指さしながら、穏やかな声で返事する。親切で我慢強い
人大会グランドチャンピオン間違いなしである。
 「それでレイコと鉢合わせしたのかい?クスクス」
 ク、クスクスってアンタ……。
 「それでレイコもここで、30分も立って待ってたというわけだね。キミはよほど私
のことが好きなのだな」 
 だから。そうじゃなくて。
 という言葉で頭の中が一杯に……。
<まだまだ続く、情熱オヤジの生態記録。忘れないでね、この人はギリシャ人なのよ。
待て、次号!>



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