コミュニティーインフォ
1989年渡米。NYU英語コース、パーソンズスクールオブデザインを経て、現在はフリーランスのグラフィックデザイナーとして活動中。2002年9月に初の著書となる『笑うニューヨークDELUXE』を講談社文庫より出版。今年5月には第二弾となる『笑うニューヨークDYNAMITES』を上梓し、出版記念サイン会を日本にて行った。 現在、愛犬のシベリアンハスキーの「チョビ」(コミック『動物のお医者さん』好きか?)と二人暮らし。何でも「チョビ」のほうが男の子にモテモテなのが口惜しいとのこと。
<vol.38> 『ブラインド・デート<もっとすごいヤツ2>』

 ちょうど来たタクシーを停め、がさがさと乗り込んだGと私。運転手にむかって『セカンドアベニューを下ってくれ』とGが告げた。
 ……セカンドアベニューを下ってくれてアンタ、それはちょっとあまりにも抽象的っていうか曖昧っていうか……。と思っていると、運転手も同じ感想を抱いたらしい。『どこへ行きたいんだ?』と振り返って訊き返してきた。
 『とにかくセカンドアベニューを下ってくれ』と言いつのるGに運転手も諦めたのか、黙って車を発進させセカンドアベニューを下り始めた。そうして10ブロックも走った頃、突然Gが『ここで停めてくれ!』と身を乗り出した。
 大慌てでブレーキを踏む運転手。
 仕切りの板で頭を打ちそうになった私。
 何事もなかったかのように車を降りたGの横に立つと、目の前には小洒落たバー。
『マジでバーかよ』と思いながら足を踏み入れると、薄暗い店内にはすでにタバコの煙がもうもう。バーカウンターは満席である。お酒も飲まなけりゃタバコの煙が大嫌いな挙げ句、人ごみが苦手な私にとって最高にイヤな場所の一つがこういうバーなのだ。そんなことはつゆ知らず(ていうか、言ったけど気にしてない)、手近に一つ空いているスツールを見つけたGは、ダダダと駆け寄りやおら自分の革ジャケットをぬいでスツールにかぶせた。何のまじないかと思ったら『ここに座りなさい』ジャケットを被ったスツールを指差す。マジですかダンナ?初対面の私に、自ら着ていたジャケットの上に座れと?
 『いや、それはちょっと……』と遠慮する私に『いいんだいいんだ。キミの体温で暖まればジャケットの革も柔らかくなるし』とブキミなことを言うG。
……どういう感覚なんじゃ……。
<イヤだ!お前のジャケットの上に座るのなんか!がんばれリンコ、負けるなリンコ! 待て次号!>

 

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