コミュニティーインフォ
1989年渡米。NYU英語コース、パーソンズスクールオブデザインを経て、現在はフリーランスのグラフィックデザイナーとして活動中。2002年9月に初の著書となる『笑うニューヨークDELUXE』を講談社文庫より出版。今年5月には第二弾となる『笑うニューヨークDYNAMITES』を上梓し、出版記念サイン会を日本にて行った。 現在、愛犬のシベリアンハスキーの「チョビ」(コミック『動物のお医者さん』好きか?)と二人暮らし。何でも「チョビ」のほうが男の子にモテモテなのが口惜しいとのこと。
<vol.50> 『ブラインド・デート<もっとすごいヤツ13>』

 「 You are going to like it 」。

 ザッツ・オッケーの次に G の口から出たのは、この言葉である。

 おいこらちょっと待て。わたしゃ温厚な日本人だけど、いくらなんでもその暴言は見過ごせん。しかし、公衆の面前で、しかも焼肉屋のテーブルで、しかもしかも初対面の野獣にチューされたショックは、かなり大きい。反撃する前に、一瞬口ごもったのがまずかった。再び顔の上下をわしづかみにされ、 G の顔が再びぐぐぐーっと……。

 「ちょ、ちょ、ちょっと待った!」すんでのところで G の顔を押し戻し、背中をのけぞらせながらやっとの思いで言ったのが、情けないことに

 「ト、トイレ……」である。ああ。情けなやリンコ。戦う女じゃなかったのか。

 「フゥーン」とヘンな声をだして、残念そうにする G 。残念がるなっ。

 大慌てで立ち上がり、あの二人ラブラブなのね、という目でこちらを見ている(ような気がする)周囲の目線を避け、小走りでトイレに駆け込んだ。薄暗いトイレの中には、大きな姿見があり、思わず顔を近づけて見た。だって、なんとなく唇のまわりがヒリヒリする。鏡の中のリンコの顔は、マジで口の回りが赤くなっていた。リンコは確かに敏感肌なんだけど、ここまでのチューは生まれて初めてだぞ……。うううー。気持ち悪いよう。このままどこでもドアで、家に 帰りたい。

 ざらざらする(うげえ)口の回りを水で洗い流し、ガラガラと何度もうがいをし、ものすごーくものすごおーく嫌な気分で、野獣 G の待つ席に戻ったリンコ。もう G の顔を見るのもイヤ。椅子に座りもせず、がしっと上着を掴み、「帰る」と一言。すると G が

 「今デザートとお茶をオーダーしたから、ちょっと待って」

 西洋社会では、日本的礼儀や礼節とバカは紙一重なのが悲しい現実。この場合、バカの典型リンコは、いくらなんでもここで無視して立ち去っては失礼かな、と再び着席してしまったのだ。

 〈いい加減にしろリンコ。いつになったら怒るのか。驚愕の結末(ホントか?)、待て次号!〉

 


 

[HOME] [サイトマップ] [会社概要] [広告掲載についてのお問い合わせ] [Contact Us]  Copyright c 1995-2006 American Dream Publishing. All rights reserved