| A:なにをやっても、一流の仕事ができる。誰もがそんな才能ある人間に憧れるし、僕だってなりたい。でも、最近ちょっと変わってきたかな。ウチの若い社員が僕にこう言うんですよ。「社長はいいよなぁ。万が一、会社が潰れたって、インドでもどこでも別の会社起こして、きっとまた社長になってるんでしょ。僕らにはそんな芸当できない」って。確かに、そのとおりなんだよね。俺、社長しかできないんだよ。人の下でおとなしくしてられないの。でも、「ま、何があっても地球のどっかで商売始めりゃいいんだし」と思うと気が楽になるよ。前にも話したよね。子供のとき、僕がどんなに頼んでも、親父は借金だらけの廃品回収業をやめなかった。大人になってその理由を聞くと、親父はこう言ったんだ。「しょうがねぇだろ。別のことやろうにも、これしかできなかったんだから」って。そのときは一瞬ガッカリした。そんな理由かよ、って。でもよく考えたら、それって一種の強みなのかも。ひとつのことしかできないってことは、退路がない、迷いがないってことだから。
もう50歳近い、ある知人がこんなこと言ってた。もがいてもがいて、40歳ぐらいでやっと、自分に何ができて、何ができないかが分かる、って。そのぐらいの年齢になっても、分からないようじゃダメだとも言ってた。それはもがいてこなかったってこと
だもん。最近、仕事で失敗しても「もともとゼロだったんだから、またゼロに戻ればいい」と思えなくなった。ここまでもがいてきたから、社長しかできないってことが分かったんです。ここでゼロに戻りたくないもん。
キミもいっそ営業を極めてさ、「何があっても地球のどっかで物売るだけさ」って開き直れるぐらいになりなよ。
(初出:週刊SPA!)
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