| 好きなことが、自分の仕事になれば、これほど幸せなことはないですよね。仕事に対する情熱がゼンゼン違うもん。僕がK-1のお手伝いをしたり、日本のアニメグッズを扱う会社を設立したのも、昔から格闘技やアニメが大好きだった縁でしょう。前に、ある経済記者が、僕のことを、こんなふうに書いてたよ。「どこにでもいる、大風呂敷のベンチャー起業家だ。でも、アニメの話を子供みたいに嬉しそうにするのを見ると、どこか憎めない」みたいなことをさ。情熱ってのは伝わるもんだね。 辛い面もあります。好きと儲けとは違うからね。思い入れでやっちゃうのがいちばんダメなんだよ。僕は『あしたのジョー』が大好きなんです。でも、そのキャラクターをアメリカで展開しようとは考えなかった。こっちではウケないと思ったからです。社員にも言うし、自分にも言い聞かせてます。商品を仕入れするときは、自分の好きなものは二?三割にしないとダメだよって。ここが辛いのよ。ただ、他の世界も経験してほしいんだ。自分の好きなこと、やりたいこと以外のね。僕は大学時代、政治家になりたかった。でも、卒業してビジネスマンの道に進んだんです。頭が偏っちゃうのが怖いんだよ。真っ直ぐ突き進んで、そのまま政治家になったら、政治の世界しか知らない人間になっちゃうでしょ。秘書の給料をピンハネして捕まった山本譲司って若い政治家も、きっとそうだったんじゃないかな。彼にとっては、あれが常識だったんだよ。 ときには、好きなものからあえて離れてみる。自分はなにがやりたいのかを確認できるし、僕みたいに新しい道が見つかるかもしれない。いい経験になりこそすれ、まわり道にはならないから。サイドステップも、時には有効だよ。
(初出:週刊SPA!)
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