| 学生時代、僕も三十五ヵ国を放浪しました。一体どこまで生き延びられるか。自分の生命力を試してみたかったんです。ヨーロッパ制覇して、中米、南米、最後は中東、アフリカ。基本は野宿か、最貧の宿でしたね。極寒アムステルダムでは「ロビーで寝かしてくれ」とホテルに飛び込んだら、ボーイの答えはノー。「立ってるだけなら、文句はないだろう!」と、強引に立って寝ました。 だって、凍死しちゃうよ。
経験上ですが、「地の果てで日本人に出くわしたら、そいつとツルめ」が鉄則です。そういうところにいる日本人は、とんでもなく強い。メキシコで会ったヤツなんて、ロサンゼルスから自転車で来たっていうんだけど、風貌からなにからインディアン化しちゃってた。グアテマラでは、コメ袋ひとつ抱えて三ヵ月放浪してる女性に出会った。旅行初日に荷物を全部盗まれたらしくて「あたし、もう何も捨てるものないし」と開き直ってましたね。あと、安ホテルに泊まると必ずドイツ人がいるものだけど、彼らとツルむのもいい。堅実でクソ真面目だし、旅慣れてるから、学ぶことが多いんです。逆に、アメリカ人はダメ。贅沢に慣れてるから、金を使えばいいと思っている。
戦場とかにも、つい足が向いちゃうんですよねぇ。いまなら、東テイモールなんかサイコーですね。我慢できずにユーゴまで戦争を見に行ったこともある。知り合った傭兵志願のアイルランド人と、元陸軍の英国人と三人で、「戦争参加者以外立入禁止」の境界線まで行きました。帰ってきたら、もう全身に目がついてるんじゃないか、ってぐらい神経が鋭敏になっていた。どうせ放浪するなら、あの「全身が目」の状態まで極めるといいよ。それで死んだら、諦めるですね。
(初出:週刊SPA!)
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