| こういう話って、よく聞くよね。でも、いつも疑問に思うんだよねぇ。キミは裏切られたっていうけど、ホントにそうなのかな。僕はそうは思わない、悪いけどね。信用するって、どういうこと? 相手はこういう人だ、ってイメージを押し付けてるだけじゃない? そんなの勝手な思い上がりだよ。
ずいぶん昔の話だけど、付き合っていた女性に別れ話を切り出したら、こう言われた。「ずっと一緒にいてくれるっていったじゃない。信じてたのに、あれはウソだったの?」って。そんなのおかしいよ。だって、そのコのなかでは、僕が彼女をずっと好きでいることが大前提になってるんだもん。相手を信用してるんじゃなくて、自分を信用しているだけだよ。「相手は○○なはずだ」という自分の考えを勝手に信じてるだけ。
誤解を怖れずにいえば、僕は人を信用しない。人を疑うっていう意味じゃないよ。人の気持ちは変わるものだって、わかってるから。子供のころの体験が影響してるかな。僕のことをとてもかわいがってくれた祖母が、両親が離婚した途端に豹変したんだ。「お前は息子を捨てた女の息子だ」って。ショックだったよ。
アメリカに渡ってきた時も、一番最初にこう教わった。「人は信用しちゃいけない」って。誰が教えてくれたかっていうと、実は近所のオッちゃん。車を買おうと思ってたら、そのオッちゃんが「アメリカで生活するんだったら、人を信用しちゃいかんゾ。車を買うなら、自分で直せる車にしろ」と言ったんだ。要は、人に頼っていたんじゃ、この国では生きていけない、ってことを言いたかったんだと思うんだ。
キミの彼女は、自分なりの選択をした。それを裏切りと呼ぶのは、奢りだね。
(初出:週刊SPA!)
|